短縮語は本来の意味を曖昧にさせる
「CNNとは何だね?」
そう言われて、生徒は、しまった、という顔になった。他の仲間たちからも、バカだなとか、気をつけろよ、とか注意されている。
「ケーブル・ニュース・ネットワークです」
それでも声の調子を弱めずに答えた。
「学校で教わっているはずだよ、CNN、FDR、IMF、DMZ、CIA、それらを略語で呼ぶようになって、それに慣れてしまうと、本来の意味が失われることがある、必ず若いうちはフルネームで言いなさい・・・」
上の記述は村上龍氏著「五分後の世界」から引用したんですけどこのポイント、とても大事なんです! Cable News Network、International Monetary Fund、Central Intelligence Agency、DeMilitarized Zoneという具合。FDRだとFranklin Delano Rooseveltと答える人もいるだろうしある人にとってはFlight Data Recorderという答えの方がしっくり来る人もいるでしょう。
IBMもInternational Business Machineであり、こうしてフルネームにしてみるとIBMが設立当初から国際的なビジネスを行う目的だったんだなぁ、ということが理解できるし、他にもNASA(National Aeronautics and Space Administration)とかもフルネームだと理解が深まる感じがします。AIDSも同じく、Acquired Immunodeficiency Syndromeだと免疫に関する何かということが分かるし、それが欠乏、不足しているということを想像できるわけです。
意味がわからない場合でも、たとえばNAFTA。North American Free Trade Agreementということがわかり、ナフタと言われるよりも意味合いをしっかり把握できるのではないでしょうか。フリートレード、自由な貿易に関する何かであり、北アメリカに関する何かである、と想像できるわけです。ナフタよりも意味するところを把握できることは大事です。
補足ですけど大文字の表記の意味を聞く場合、日本語的にこれこれはなんと言う意味ですか? と英語文章を起こさないこと。What does USA stand for? というようにStand Forを使えばいいです。It stands for United States of America.というようになります。
他にも普段耳にしている略語
- FBI – Federal Bureau of Investigation
- WHO – World Health Organization
- OPEC – Organization of the Petroleum Exporting Countries
- NATO – North Atlantic Treaty Organization
- UFO – Unidentified Flying Object
- PDF – Portable Document Format
- BBC – British Broadcasting Corporation
- DVD – Digital Versatile Disc
- PCR – Polymerase Chain Reaction
- RNA – Ribonucleic Acid
- APEC – Asia Pacific Economic Cooperation
- CEO – Chief Executive Officer
- DNA – Deoxyribonucleic Acid
- IAEA – International Atomic Energy Agency
- IMF – International Monetary Fund
- IOC – International Olympic Committee
- SARS – Severe Acute Respiratory Syndrome
- UNICEF – United Nations Children’s Fund
日本が本土決戦を続けていたらのシミュレーション小説
先に紹介した村上龍氏著「五分後の世界」、日本が第2次世界大戦を続けていたらのシミュレーション小説という感じで描かれている世界観は結構リアルです。その世界が5分後に存在していて時空が歪んでいる地点に行くと我々が体験している今の世界から、5分後の世界へ、第2次世界大戦を終戦として受け入れず、戦い続けている日本国へと舞い降りるという物語。
移民が大量に日本へ入ってきた場合の未来予想図なんかは結構鋭い視線で描写されています。今でこそ、世界中に流れるニュースではアメリカや欧州を中心としたプロパガンダに沿って流されていますけど、一昔前の日本も、今の北朝鮮や中国、ロシア、イラン、のような理解に苦しむ国としてマークされていました。
今ではすっかり腑抜けのような日本国になってしまいましたけど、アメリカや欧州を出し抜く、という発想は到底持てないでしょう、腑抜けですから。しかしイスラエル、ユダヤ人は強(したた)かです。コロナ禍で世界中ワクチンが1日でも早くほしいとなっていた状況、一番早く大量にワクチンを確保した国がイスラエルです。
Pfizer(ファイザー)なんかはユダヤ系企業で、そのあたりはやっぱり強(したた)か。隙がないというか迫害されてきたので、生き延びるには手段を選ばないという意思が強固に伝わってきます。日本人にこの気質を持て、といったら今は無理でしょう。世界は情報戦です、行き交う情報は英語で飛び回っているケースがほとんど。
God helps those who help themselves
だったら日本人にしか扱えない日本語を自由自在に操り、尚且つ英語でもネイティブと負けないぐらいの知性をつけることができれば、もう少しマシな扱いを世界から受けるはずです。今の日本は完全に非モテ体質。金がちょっとあるからパーティーに呼んでやったけど、金がなくなってきたら用無し、中国とアメリカ、の親分に媚を売り、そんな態度が世界や近隣諸国からもう、日本はいいやー、とそっぽを向かれている。
我々日本人に今必要なのは、個人が自己投資する時間を1日平均6分という、なんじゃそりぁという数字から2時間、3時間、4時間へと質、量ともに増やすことです。社会人になったら勉強しない、という態度ではこれから先、変化のスピードが指数関数的に増えていく世の中に対応できなくなっていくでしょう。自助努力は大事です。